昨年9月の総選挙以来、ドイツでは約半年ぶりに3月14日、第四次メルケル政権の樹立に漕ぎ着けた。しかし、一難去ってまた一難。今度はイタリア総選挙結果が欧州に暗い影を落とすことになりそうだ。

イタリア総選挙の結果
まず最初に2013年と2018年、それぞれの選挙結果を比べてみよう。

一目瞭然であるが、伝統的なイタリア2大政党である民主党(赤)とフォルツァ・イタリア(水色)の議席数が減り、ポピュリズム政党:5つ星運動(黄色)や、極右:同盟(旧北部同盟、緑)が大きく議席を伸ばした。

総選挙結果と有権者からのメッセージ
総選挙結果をまとめ、そこから見えてくる有権者からのメッセージを挙げてみよう。

・単独過半数を獲得した連合/政党は、なし

・第一党は、ポピュリズム政党である「5つ星同盟」

・最大議席数を獲得したのは、「中道右派連合」

・伝統的2大政党である民主党(PD)とフォルツァ・イタリア(FI)による大連立政権の夢は消えた。両党あわせても、得票率は32.73%であり目標の40%以上に届かず
(5つ星運動は、単独で32.64%)

・伝統的2大政党連合制度は崩れ、3大連合/政党という結果へ

・投票した有権者の50%が、ポピュリスト政党(5つ星運動)と、反ユーロ政党(同盟=旧北部同盟)の2党に票を入れた

・5つ星運動が支持されたのは、最低所得保証【780ユーロ(約10万円)/月】を選挙公約に挙げたから

・同盟(旧北部同盟)が議席を伸ばしたのは、過去にイタリアに上陸したアフリカ系難民40~60万人を、本国へ強制送還すると約束したから

・レンツィ元首相率いる民主党(PD)は大きく後退

このようになった。

連立の組み合わせと議席数予想
ここでは、ありとあらゆる組み合わせの例を挙げ、どの組み合わせが下院730議席の過半数316議席に届くか調べてみた。

その結果、真ん中の2つ(大連立と中道右派連合)が過半数に届かないことが判明した。

現時点でマーケットが一番好む組み合わせは、一番左の「5つ星運動と民主党(PD)」である。そして、ヨーロッパにとって最悪なのが、右端の「5つ星運動と同盟」による連立政権だ。

5つ星運動も同盟も、欧州懐疑派同士であるが、5つ星運動は最近ヨーロッパ寄りの考えを受け入れ始めているのに対し、同盟はあくまでもユーロからの離脱を主張している。

この2党がしっくり行かないのは、他にも理由がある。5つ星運動は、失業率の高く貧困層の多いイタリア南部が支持基盤である。それ故、最低所得保証に有権者は飛びついた。それに対し、同盟はイタリア北部の富裕層が支持基盤となっている。

つまり、この2党が連立を組んでも、目指す方向が全く違う。そのため、100歩譲ってこの政権が誕生したとしても、短命で終わる可能性が高く、イタリア政局の不安定さは解決されない。

ここからのイタリア政局の動き
総選挙後、初の議会召集は3月23日である。そして、その1週間後から復活祭(イースター)の休暇がはじまるため、マッテレッラ大統領は、早くてもイースター休暇明けの4月1週あたりに組閣要請を出すことが予想される。

イタリア国内でも意見が分かれているが、大統領は果たして誰に対して、組閣要請を出すのか?

第一党となった5つ星運動か?それとも、議席数が一番多かった中道右派連合か?

そして、最終的に組閣に失敗すれば、年内に再度総選挙実施というシナリオが浮上する。

ここからのユーロ
イタリア総選挙後に新政権が誕生するのに必要な時間は、平均51日と言われている。つまり、早くても5月下旬までは現在の状態が続く。もちろん、その間に連立交渉についてニュースが出るだろうが、それがネガティブな内容か?予想以上にポジティブかは、出たとこ勝負となる。

目先のユーロ/’ドルについては、チャート上のオレンジの枠で囲んだ1.21-1.23を予想。青線で示された基準線と、雲の下限のレンジである。もう少し幅を広げると、1.20-1.25と言ったところか?

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